医療の進歩の過程には
“低侵襲”というものがあります
例えば
虫垂炎の治療が、手術→抗生剤による保存的治療になったり
早期胃癌の治療が、手術→胃カメラによる内視鏡治療になったり
同じ手術でも、開腹手術→腹腔鏡手術になったり
という感じで
なるべく体の負担が少ない治療に置き換わっていくのは
自然な流れと言えます
美容医療でも同じことが言えます
脂肪吸引→クールスカルプティングなどの機械による治療
切開フェイスリフト→糸によるリフト
といった感じです
では、鼻に関してはどうなのでしょう?
糸による顔のリフトアップが普及した後
鼻先に糸を入れれば高くできるのでは?
という流れが出来ました
糸で鼻先を高くする治療は、クリニックによって
切らない鼻中隔延長や切らない隆鼻術、〇〇ノーズなどと呼ばれていますが
確かに、ホームページにある症例写真をみると
とても綺麗に変化しています
ただ、これらの写真のほとんどは治療直後のものです
残念ながら、そこで長期経過やリスクについて語られることはほとんどありません
そのために、糸による治療で満足出来なかった方や
トラブルを生じた方のご相談がとても多くなっています
という事で今回は、最新の論文の内容をふまえて
糸で鼻先を高くする治療の長期経過やリスク、再手術に関してお話していきます
目次
効果と長期成績
まず、効果に関して
これは出やすい人と出にくい人がいます
これは手術に関しても同じですが
簡単にいうと、組織の伸びやすさと、伸ばす方向で決まります
こちらは論文からの引用
糸とさらにヒアルロン酸を組み合わせています
右が治療直後の写真ですが、効果に関してわかりにくいといえます
続いて長期成績について
こちらは、また別の論文からの引用
右は治療直後です
かなり高く、綺麗な横顔になっています
ところが・・・
治療後6ヶ月で、ほとんど元に戻っています
まとめると、糸の治療は
効果の出やすさが人によって違うこと
時間が経つと、ほとんど元に戻る
事がわかります
リスクと合併症
糸の治療は、針でさして糸を入れるだけなので
・短時間でできる
・麻酔も大して必要ない
・傷がほとんどできない
・おそらく安い
ことから、治療自体を簡単に考える傾向にあるのですが
実は、しっかりリスクがあるのです
①入れた鼻先から糸がる、透ける
こちらが最も多い症状
②痛み
特に、糸が浅い位置にあると痛みを感じます
③感染
多くはありませんが、気をつけるべき合併症
特に、プロテーゼなどの人工物が入った状態で受けるとリスクが高まります
また、糸の素材としては基本的に
PDO(polydioxanone)という溶ける素材を使うので
半年くらいで無くなるという説明をうけるのですが
入れる本数が多い場合やヒアルロン酸を併用した場合などに
1年以上経っても吸収されずに残る可能性も報告されています
再手術は?
以上の事から
時間がたって結果に満足できなかった
糸が出てくるなどの合併症を来した
といった方たちで再手術を希望される場合があります
手術では、残っている糸や、糸のせいでできた瘢痕組織を取り除いていくのですが
糸がギザギザでからみつく性質があるため
正常の組織もわずかではありますが、一部損傷することは避けられません
それによって支えが弱くなると報告されています
そのため、再手術では支えとして安全に使える自分の軟骨を使うことが一般的です
さいごに
では糸の治療がダメかというと
全くそういうわけではありません
適応やリスクをしっかり理解した上でうけるのは問題ないと思います
リスクに関しては、挿入する糸の本数が多いほど上昇することがわかっています
背側に2~5本、鼻柱に2~5本、合計で4~10本の糸が比較的安全でしょう
短期間続く、ちょっとした変化は糸
ずっと続き、しっかりした変化は手術
と使い分けるといいかもしれません
ナレサ美容形成外科京都は鼻整形を専門としたクリニックです
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糸で鼻を高くする治療後の修正手術
モニター価格、約60〜130万円(使用する軟骨による)
参考文献
・Minimally Invasive Rhinoplasty Technique Using a Hyaluronic Acid Filler and Polydioxanone Threads
・Nonsurgical Rhinoplasty With Polydioxanone Threads and Fillers
・Clinical Features of Skin Infection After Rhinoplasty with Only Absorbable Thread (Polydioxanone) in Oriental Traditional Medicine
・Presentation Patterns and Surgical Management of the Complications of Thread Rhinoplasty
・Clinical features and literature review related to the material differences in thread rhinoplasty
・Rhinoplasty with Barbed Threads